ホーム > OB近況報告 > 許敏信さん御逝去のこと |
先日のOB戦で、許敏信さんが9月にお亡くなりになられたことをお話ししたところ、御
存知ない方が意外に多かったので、遅ればせながらこのページでも訃報をお伝えさせて
頂きます。
会員の許敏信さん(昭19年卒)は、去る9月15日夕刻心臓麻痺で急逝されました。
享年79才。亡くなられた当日も、母校成城学園の同窓会に出席され、帰宅して書斎で
書きものをしておられた時に発作で亡くなられたそうです。
許さんは、永年に亘ってわが硬式庭球部とOB会を積極的に支援してこられました。現役
選手に直接手をとってコーチされたことも、試合に応援に来られたことも再々でした。
1980年6月15日の第1回OB会総会にも出席されて、活発に発言されておられたこ
とを私はよく記憶しております。
許さんの厳父は、台湾で一二を争う大地主で戦前貴族院議員をされていたそうです。と
にかく桁外れの大地主で、現在の台北の国内(松山)空港の大半の土地は許家が寄付さ
れたと聞いております。そんな大家の旦那の許さんは、一生宮仕えとは無縁で悠々と暮
らしてこられた人ですが、人知れぬ苦労もされた様です。戦時中、東工大卒業後兵役で
満州に派遣され、敗戦後はシベリヤに抑留されて大変な辛酸を舐められました。復員し
ても国籍が台湾だったので、恩給が支給されないという不遇に遭われたと聞いておりま
す。
許さんのテニスは、左利きのゆったりしたスイングですが、ボールをふところに充分に
呼込んで打たれるので、見た目よりはるかに力強いショットで、勝負強いテニスでし
た。現役時代は井本さんとダブルスを組んで不敗を誇ったと伺っております。
とにかくよく話される人で、しゃべり出すと談論風発止まるところを知らずという感じ
で、途中で話を切らせて頂くのに苦労するという具合でした。 大先輩でOB会の名物男を
失ったという感じで淋しさを禁じ得ません。お通夜にはOB会を代表して御香典をお供え
したことをご報告致します。謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
合掌。
平成12年11月22日
蔵前テニスクラブ
顧問 平井満夫